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2026.07.22 コラム

土用の丑の日、なぜウナギ?意外と知らない夏の食文化史

うだるような暑さがやってくると、街のあちこちで「土用の丑の日」ののぼりや看板を見かけるようになります。
2026年の夏の土用の丑の日は、7月26日(日)です。今年は二の丑がなく、土用期間中の丑の日はこの1回だけとなります。
毎年なんとなくウナギを食べているけれど、「そもそも土用って何?」「なぜ丑の日にウナギなの?」と聞かれると、意外と答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。

今回は、夏の風物詩として親しまれている「土用の丑の日」に込められた、暦と食文化の歴史をたどってみます。

そもそも「土用の丑の日」とは

「土用の丑の日」は、「土用」と「丑の日」に分けて考えると意味がわかりやすくなります。

まず「土用」とは、立春・立夏・立秋・立冬それぞれの直前、約18日間を指す言葉です。もともとは古代中国の五行思想に由来し、季節が次へ移り変わる前の調整期間のようなものとされてきました。

つまり、土用は夏だけのものではありません。

春・夏・秋・冬、それぞれの季節の変わり目に、年4回めぐってきます。

一方の「丑の日」は、十二支の「丑」にあたる日のことです。昔は年だけでなく、日にちにも十二支が割り当てられており、丑の日は12日ごとに訪れます。
この「土用」の期間中にめぐってくる「丑の日」が、「土用の丑の日」です。約18日間の土用の間に丑の日が1回の年もあれば、2回ある年もあります。2回ある場合は、一の丑・二の丑と呼ばれます。

数ある土用のうち、特に夏の土用は、梅雨明け後の厳しい暑さと重なる時期です。体調を崩しやすい季節でもあるため、昔から養生を意識する大切な時期とされてきました。そのため、現在では「土用の丑の日」といえば夏、というイメージが広く定着しています。

なぜ、ウナギを食べるのか

土用の丑の日にウナギを食べる理由には、いくつかの要素が重なっています。
まず背景にあるのは、古くから伝わる「丑の日に“う”のつく食べ物を食べるとよい」という考え方です。

「う」のつく食べ物には、ウナギのほか、うどん、梅干し、瓜などがあります。どれも暑さで食欲が落ちやすい時期に食べやすく、夏を乗り切る食べ物として親しまれてきました。
その中でもウナギは、栄養価の高い食材として昔から知られていました。脂ののったウナギは、たんぱく質やビタミン類を含み、体力を消耗しやすい夏に食べる滋養食として受け入れられてきたのです。

「う」のつく縁起のよさと、夏の養生に役立つ食材としてのイメージ。

この2つが結びついたことで、土用の丑の日にウナギを食べる習慣が広がっていったと考えられます。

奈良時代から知られていたウナギの滋養効果

ウナギが夏の体力づくりに良いとされていた歴史は、実はとても古くまでさかのぼります。

日本最古の歌集『万葉集』には、大伴家持が「夏痩せにはウナギがよい」という趣旨の歌を詠んだものが残されています。そこでは、痩せた人に対して、夏痩せによいものとしてウナギをすすめる内容が詠まれています。

このことから、少なくとも奈良時代には、ウナギが夏の滋養食として知られていたことがうかがえます。現在のように「土用の丑の日にはウナギ」という形で定着する以前から、日本人は暑さの厳しい時期にウナギを食べることのよさを感じていたのかもしれません。

ウナギだけではない「う」のつく食べ物

近年はウナギの価格高騰もあり、土用の丑の日をウナギだけにこだわらず楽しむ過ごし方も見直されています。

たとえば、のどごしのよいうどんは、暑さで食欲が落ちたときにも食べやすい一品です。梅干しは酸味で食欲を促し、昔から夏場の食卓に欠かせない存在でした。瓜やきゅうり、冬瓜などの瓜類も、水分を多く含み、暑い季節にぴったりの食材です。

土用の丑の日は、必ずしも高価なウナギを食べなければならない日ではありません。

「暑さに負けないよう、体をいたわる日」と考えれば、うどんや梅干し、瓜などを取り入れるのも、昔ながらの知恵にかなった楽しみ方といえるでしょう。

街の“のぼり”が告げる夏の便り

土用の丑の日が近づくと、飲食店やスーパーの店先に一斉にのぼりが並びます。

赤や黄色の目立つ色づかい、大きく書かれた「うなぎ」「土用の丑の日」の文字。そうした街なかの小さな告知を見ると、「そろそろ夏本番だな」と感じる方も多いのではないでしょうか。季節の行事は、食卓だけでなく、街なかの表示や広告によっても私たちの記憶に残っていきます。お店の前に立つのぼり、通り沿いの看板、地域に根ざした案内表示。

そうした身近な情報発信が、日々の暮らしの中で季節を知らせ、地域のお店と人をつないでいます。電柱広告もまた、街と季節をつなぐ身近な媒体のひとつです。

道ゆく人の目に自然と留まり、地域のお店や旬の情報をそっと届けてくれます。大きな広告ではなくても、毎日の生活動線の中にあるからこそ、ふとした瞬間に目に入り、地域の記憶に残っていきます。2026年の土用の丑の日は、7月26日。今年もおいしいウナギや「う」のつく食べ物とともに、街に広がる夏の便りを楽しみたいものですね。

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