電柱って何本あるの?

日本全国に約3,600万本。無電柱化が進んでも、実は今も増えている身近なインフラ
まちを歩いていると、道路沿いや住宅街、商店街、駅前などで必ずと言っていいほど目に入る「電柱」。あまりに身近にあるため、普段はじっくり見ることが少ない存在かもしれません。一方で、最近は「無電柱化」という言葉を耳にする機会が増えています。景観をよくするため、災害時に電柱が倒れて道路をふさがないようにするなどの目的で、道路上から電柱や電線をなくしていく取り組みが進められています。
そのため、なんとなく「電柱は少しずつ減っているのではないか」と思っている人も多いのではないでしょうか。
実は、電柱は今も増えている
しかし、全国全体で見ると、実際には少し違います。
国土交通省などの資料によると、全国には依然として約3,600万本の電柱が存在しているとされています。さらに、近年の調査では、電力柱は約4万本増加し、通信柱、NTT柱は約0.7万本減少しました。電力柱と通信柱を合わせると、電柱は約3.3万本増加したとされています。つまり、無電柱化の取り組みが進められている一方で、全国で見ると、電柱は今も増えているのです。
「電柱は減っているもの」と思っている人にとっては、少し意外な数字かもしれません。
なぜ、電柱は増えるのか
では、なぜ無電柱化が進められているのに、電柱は増えるのでしょうか。
主な理由として、新しく電気や通信を必要とする場所が、今も生まれているからです。
- 新しい住宅が建つ。
- まちの開発が進む。
- 離れた場所に建物や施設ができる。
- 再生可能エネルギー設備への接続が必要になる。
- 通信環境を整える必要がある。
暮らしや社会が変われば、それに合わせて電気や通信を届ける設備も必要になります。国土交通省の資料でも、新設電柱の要因として、供給申込や再エネ発電設備への接続などが挙げられています。
ただし、すべての場所で一度に進められるわけではありません。費用や工事期間、道路の状況、既存設備との関係などがあり、地域によって進めやすさは異なります。
そのため、撤去される電柱がある一方で、新しく設置される電柱もあります。
この結果として、「電柱は減っているように思われがちだが、全国で見ると今も増えている」という状況が生まれています。
電柱は、今も暮らしを支えている
電柱は家庭や店舗、工場、公共施設へ電気を届けるために使われています。
また、電話線やインターネット回線など、通信を支える役割を持つものもあります。
私たちが普段使っている照明、家電、スマートフォン、インターネット。そうした日常の裏側で、電柱は電気や通信を支えています。そして、電柱の役割はそれだけではありません。
まちを歩いていると、防犯灯や街路灯、交通安全の表示、地域の案内板などが取り付けられている電柱を見かけることがあります。夜道を照らしたり、注意を促したり、目的地への案内をしたりと、電柱はまちの安全や暮らしに関わる設備を支える場所にもなっています。

電柱は、場所を伝える目印にもなる
電柱には、一本ごとに番号や管理用の表示が付けられていることがあります。
この番号は、設備を管理するためだけでなく、場所を伝える手がかりにもなります。
たとえば、防犯灯が消えている場所を連絡するとき、住所だけでは正確な場所を伝えにくいことがあります。「○○町の道路沿い」「△△公園の近く」と言っても、同じような場所が複数あるかもしれません。そのようなとき、近くの電柱番号が分かれば、場所を特定しやすくなる場合があります。まちの中に細かく配置されている電柱は、見方を変えると、地域の中にある「位置の目印」とも言えます。
「なくす」だけでなく「活かす」視点も大切
景観や防災の面から、無電柱化は大切な取り組みです。電柱を単に「なくすべきもの」として見るだけでなく、地域の安全や暮らしにどう役立てるかという視点も大切です。普段は何気なく見ている電柱ですが、その数や役割を知ると、少し見え方が変わってきます。
次回は、電柱を「電線を支える柱」としてだけでなく、場所を示す目印としての役割から見ていきます。防犯灯や街路灯の管理、通報対応、自治体業務での活用など、電柱番号や位置情報がどのように役立つのかを紹介します。