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2025.11.28 コラム

2025年、熊の出没が過去最多──人と野生の境界が揺らぐ

2025年、日本全国で熊の出没件数が急増している。環境省の速報によれば、9月末時点での目撃件数は27,000件を超え、昨年の記録をすでに上回った。これは統計開始以来最多であり、熊による人身被害や農作物への被害も深刻化している。

特に東北地方や北陸では、民家の庭先や学校の近くに熊が現れる事例が報告されており、地域住民の生活に直接的な影響を及ぼしている。一部の自治体では、緊急銃猟や避難勧告が発令されるなど、対応が追いつかない状況も見られる。

なぜ熊が人里に現れるのか?

熊が山から降りてくる背景には、複数の要因がある。まず、気候変動による食料不足が挙げられる。暖冬の影響で冬眠から早く目覚めた熊が、山で十分な食料を確保できず、人間の生活圏にまで足を伸ばすようになった。

また、森林の構造変化も大きな要因だ。広葉樹が減少し、スギやヒノキの人工林が増えたことで、熊の主食である堅果類が手に入りにくくなっている。さらに、過疎化によって放置された果樹園や農地が熊にとって格好の餌場となり、境界が曖昧になっている。

熊の能力と遭遇時のリスク

日本に生息する熊は、北海道のヒグマと本州以南のツキノワグマの2種類。どちらも高い運動能力を持ち、木登りや泳ぎも得意だ。特に子連れの母熊や若い個体は警戒心が強く、予測不能な行動をとることがある。

熊との遭遇は命に関わる危険を伴う。山に入る際は、熊鈴やラジオなど音の出るものを携帯し、自分の存在を知らせることが重要だ。また、ゴミの管理を徹底し、匂いを外に漏らさないようにすることも、熊を引き寄せないための基本的な対策となる。

関西でも熊が身近な存在に

関西地方でも、熊の出没が広範囲に及んでいる。京都府では京丹後市や左京区、右京区などで目撃が相次ぎ、4月から11月までに900件以上の通報があった。観光地である嵐山では、竹林に子熊が現れ、観光客の間で騒然となった。

滋賀県では大津市だけで4月から10月末で28件の目撃があり、長浜市木之本町でも新たな出没が確認された。兵庫県では但馬地域や丹波篠山などで熊が確認され、姫路市では住宅地での緊急銃猟が検討されるほどの事態となっている。

奈良県では五條市や吉野郡で人身被害が発生し、天理市などの市街地近くでも熊が現れている。大阪府では高槻市や池田市、能勢町などで19件の報告があり、都市近郊でも油断できない状況だ。

山に入るなら、熊対策は必須

登山やハイキングを楽しむ人にとって、熊との遭遇は現実的なリスクとなっている。特に早朝や夕方は熊の活動が活発になる時間帯であり、静かな山道では人の気配が熊に伝わりにくい。

熊鈴を携帯する、複数人で行動する、熊の痕跡(足跡や糞)を見つけたら引き返すなど、基本的な対策を怠らないことが重要だ。また、自治体が提供する熊出没マップや最新情報を事前に確認し、危険地域を避けるようにしよう。

熊との距離をどう保つか

熊の出没は一時的な現象ではなく、今後も続く可能性が高い。人間の生活圏と野生動物の生息域が重なり始めた今、共存のための知恵が求められている。

熊を単なる脅威として捉えるのではなく、自然の一部として理解し、適切な距離を保つことが、これからの暮らしに必要な視点だ。2025年は、私たちの「野生との向き合い方」が問われる年になっている。

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